泡沫

そんなこととか 君のこととか

2020.07.15

地元にこんなにも素敵なカメラ屋さんがあるなんて知らなかったな。

ずっと始めてみたかったことの1つ、フィルムカメラ。フィルム写真に興味を持ったのは数年前の誕生日に友達が写ルンですをプレゼントしてくれたことがきっかけだった。しかも郵送で。その年にもらったプレゼントの中でいっちばん嬉しかった。かなり粋な友達を持ったなあ。そこからいくつ買って、シャッターを0になるまで切って、現像に出して写真に一喜一憂したかわからない。まもなく今使ってるのが使い切りそうなこと、少し時間に余裕ができたこと、そしてそして。両実家の祖父母に家に眠ってない?って聞いたらどちらにも処分しちゃったなあ、って言われてた。はずなのに。「あったから今から届けるよ!」突然の電話。なんと2つもでてきた。大発掘。かなりのお宝。ここしばらくの間で1番わくわくした。

届けてもらった昨日は課題そっちのけでそのカメラたちのことを調べ上げて、それはもう出来る限りの慎重さで触ったり磨いたりした。1つは入りっぱなしの電池の液漏れが酷かった。磨いてるうちにポロリとバネや部品が3つも落ちた。でももしかすると、なんて淡い期待を抱いて本日2020年7月15日、人生初の個人カメラ店へ。大袈裟すぎる?でもそれくらいどきどきしたんだ。

ホームページのキャッチフレーズは頼れる街のカメラ屋さん。お願い、頼らせて。年代と店主のお名前からして迎えてくれるのはおじちゃん。今日は一日中小雨が降っていて肌寒かったのに、カメラが入った紙袋を持つ手には手汗。駅から3つ目の角を曲がると、お店はあった。お店の自動ドアの前に立つ。あれ、開かない。え、明かりついてるけどもしかして休み?人いないし。あれ、休業日日曜日だったはずだけど。あれ。ドアに手振ったりドキマギしてたら奥から優しそうなおばちゃんがやってきて自動ドアを手動でこじ開けてくれた。開口一番「あれ、お店やってますか?」というかさっきからあれって言いすぎじゃない?

迎え入れてくれたおばちゃんは店主の奥さんだそう。フィルムカメラを始めたくてと伝えると、5年前くらいまでは中古をこの棚にずらっと並べてたけど処分してしまったこと、部品の替えがないからフィルムカメラはそこでおしまいだということ、この前もあなたと同じくらいの歳の子が来て店主が使い方を教えていたこと。置いてなくてごめんね、とまで言ってくれた。その他にも色んなことを丁寧にていねいに教えてくれた。ど初心者の私に。実は発掘したカメラを持って来てると伝えると、見てもいい?と見てもくれた。やっぱり液漏れが酷いほうはもう使えないし、もう1つはこのカメラに合うフィルムはもう売ってないとのことだった。残念だけど、ずっと嬉しかった。こんなにも素敵なカメラ屋さんが地元にあるなんて知らなかったな。気付いたら足元にネコちゃんがいたし、お店に来たときから気になっていた奥にひっそりと隠されるようにタオルがかかったゲージの中には保護されてるカラスがいた。近づくとカーカー鳴いてた。かわいいね。ネコちゃんとはゼロ距離で見つめ合ったし、手を出したらペロリ、すりすり、すりすり、カプリってされた。かわいいね。お店をたくさん巡って、いいものに出会えたらまたこのカメラ屋さんに来ようと思う。おこがましいかもしれないけど、そのときは店主にも会いたいな。ほんと、ずっと嬉しかった。

 

光の中へ / odol